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Research

自律型ウェットナノ加工による
Si原子層リボンの創製

物質は、寸法がナノメートル領域まで小さくなると、バルク(大きな塊)では見られない、特異な性質を発現することが知られています。次世代の電子・光学デバイスでは、このような量子力学的な効果を発現するナノ材料を積極的に組み込むことが鍵となります。私たちは、複数の固液界面プロセスを巧みに操り、“幅”と“厚さ”が共に制御された、Si原子層の“リボン”を創り出す新手法の開発に挑んでいます。

Si結晶からのSi原子層リボンの切り出し

“表面を創るプロセス”の
原子単位での性能評価

“ものづくり”分野では、『固体表面の形や機能を思い通りに創成する』ことに関する学問や技術を扱います。表面を創成するプロセスの性能向上には、それらを評価するための計測技術が不可欠です。私たちは、超清浄(ウルトラクリーン)な環境下で精密に仕上げた半導体表面を原子レベルの分解能を持つ顕微鏡で可視化します。これにより、様々な実用プロセス(超精密加工、ウェット洗浄、膜形成 他)の性能を原子単位で評価することができます。

研磨プロセスの微視的な考察

高性能ナノカーボン形成と
化学エッチング機能の探索

私たちは、超平坦に磨いたシリコンカーバイド(SiC)表面にプラズマ処理を組み合わせる独自手法により、ピット欠陥密度が低い原子層厚のカーボン薄膜(グラフェン)を形成することに取り組んできました。最近は、グラフェン状の骨格をベースとしたナノカーボンが発現する腐食作用に興味を持っています。そして、この機能を積極的に活用した表面創成プロセスに取り組んでいます。

ナノカーボンの腐食作用を逆手に取った半導体表面の選択エッチング

機械的作用を必要としない
深溝/孔加工の開発と応用

近年、貴金属の触媒作用により、溶液中で半導体表面上に深溝や孔を形成する手法が注目されています。この手法を用いると、基板である半導体とは異なる種類の元素を溝や孔の奥底に埋め込むことができます。私たちは、底部に埋め込んだ異種元素を鉛直方向の目印とする新たな視点に立ちます。そして、高いアスペクト比(縦横比)を持つ三次元ナノ構造における、奥底部表面の構造評価に取り組んでいます。

Si深溝底部へのAuの埋め込み

濡れ特性の極限計測と
電子デバイス分野への展開

水蒸気を含む大気中では、全ての物質の表面に薄い水の層(吸着水)が存在します。私たちはこれまでに、放射光をプローブとして、酸化物上での吸着水の厚さを超精密に計測する実験に取り組みました。ここで得られた結果を次世代デバイスプロセスの高度化に繋げるべく、最近、独自の表面処理・計測複合システムを構築しました。これにより、水分子や揮発性有機分子が、金属-酸化物-半導体(MOS)構造の電気特性に与える影響が系統的に調査できると考えています。

放射光X線光電子分光(XPS)測定による
吸着水層厚さの湿度依存性

吸着水がデバイス特性に与える影響の精密解析

高精度・量子力学計算が開く
次世代生産工学の扉

量子力学に基づく高精度な第一原理計算や、機械学習に基づくポテンシャル計算により、固体表面の電子状態や固液界面現象を正確に予測します。実験結果とも組み合わせることで、高性能ナノ材料や新しい表面プロセスの創出に繋げます。

線状欠陥を含むグラフェンの
特異な電子状態

ダイヤモンド-鉄界面での
グラフェンシートの剥離